東南アジアからの観光客に人気の雪国。
スキー需要の低下を挽回する策として、ムスリムマーケットへの対応が積極的に試みられています。
ハラルフード専用の冷蔵庫

広く世界からお客様をお迎えしたいとの想いの中で、これまで手がつけられてこなかった未開拓な市場としてイスラム圏は重要であり、どのようにしたらお迎えできるかについて約2年前から検討していました。
そこで、まずは、ムスリムについての基礎知識に習熟することから始めました。しかし、厳格なムスリム基準に合わせた本格整備となると、コスト的にも内容的にも困難とわかったので、最終的にマレーシア系の事業会社と業務提携を結び、日本という非イスラム圏で出来うる最善のハラル環境を提供することで対応することにしました。現在は同社に第三者監査を依頼すると同時に、その環境を維持・継続するためのアドバイスを頂いています。また、総料理長が厳格な中近東ムスリムからのお客様を受け入れた経験があったので、準備として彼を一週間マレーシアに派遣するなど、全社で知識習熟に向けた体制作りを進めました。

対応例として、礼拝スペースの確保が挙げられます。現在の礼拝スペースは、団体予約の状況と会議室の空き状況などを勘案して提供しています。お清め場所は隣接トイレを代用して頂いています。
コンサルティング会社主催の社内勉強会も実施しています。ムスリム観光客へのサービスは海外からのお客様へのおもてなしと同様に考え、特別な応対をしている認識はありません。すべてのお客様に対しサービスのおしつけにならないような配慮と、問い合わせに機敏に答えるスタンスをとっています。お客様個々人の考えを尊重するような配慮、問い合わせに正確に答えられる準備が基本です。
一番のチャレンジは、ハラルフード専用の冷蔵庫・冷凍庫、調理器具、棚、食器、食器棚、そして調理場の改装など思い切った初期投資をしたことです。また、ハラル食材の仕入れ先や搬入流通経路の確立にも大変苦労しました。例えば、アルコール成分の入っていない醤油、みりんを探索するなど準備に多くの時間を費やしました。

ムスリムの中にも戒律に対する厳格さには差があります。従って、すべてのムスリムのお客様に100%ご満足いただける体制ではないことを自覚しています。しかし、日本という非イスラム圏で出来うる最善のハラル環境とハラルメニューを提供し、それを受け入れていただけており、現時点では深刻な問題に至っておりません。万一お客様との齟齬が生じた場合には、誠心誠意に対応していきたいと考えています。
重要なのは、お客様のニーズに十分に耳を傾けることだと思います。例えば、「ハラルのお菓子や缶詰を扱うコーナーをショップ内に設置して欲しい」「夕食用だけでなく昼食用として軽食ハラルメニューを追加して欲しい」といったご要望もいただき、早々に対応しております。今後もお客様の声を前向きに取り組んでいく挑戦と努力は惜しまない所存です。