プノンペン

旅のヒント

メコン川とトンレサップ川が交わる場所に形成された首都プノンペン。内戦による破壊を乗り越え、かつて「東洋のパリ」と呼ばれた美しい街並みへと復興を果たそうとしています。メインストリートはモニボン通りとノロドム通りで、王宮などのおもな見どころはトンレサップ川沿いに点在。歩いて市内を散策することもできますが、体力を消耗する熱帯の街だけに、タクシーやシクロを活用して移動するのがおすすめです。
王宮と銀寺

シハモニ現国王が暮らし、公務を行っている王宮。ノロドム国王が1866年に首都の遷都とともに建造し、1919年に黄金色が眩い現在の姿に改築されました。59メートルの尖塔を持つ即位殿は、威風堂々たる姿に息をのむほどです。南側に隣接する銀寺は王室の菩提寺で、本殿床に5000枚を超える銀板が敷き詰められていることからこの名で親しまれています。エメラルドで造られた仏像が安置されています。
ワット・プノン

クメール語で「ペン夫人の丘」という意味を持つ、プノンペン屈指の歴史ある寺院。14世紀末のこと、この地の豪族ペン氏の夫人が、メコン川の流れの中に一体の仏像を発見。この仏像を安置するために、プノンペンの中心地にある小高い丘の上にお堂を建てました。これがワット・プノンだといわれています。特徴的なクメール建築の本堂には黄金の仏像が安置され、壁面には仏陀の一生が描かれています。本堂裏手には、ペン夫人の像を祀った祠があります。
国立博物館

王宮の北側に隣接する、クメール芸術の殿堂。カンボジア各地から収集したクメール芸術の最高傑作が一堂に展示されています。展示内容はアンコール王朝時代とその前後で分けられていて、前期コーナーではカンボジア独特のシヴァとヴィシュヌが一体化したハリハラ神像を見ることができます。アンコール期では、絶頂期に君臨したジャヤヴァルマン7世の瞑想する像が必見です。後期には、かつての王族が使った豪華な生活用品が展示されています。
トゥールスレン刑務所博物館
ポル・ポト政権下、虐殺前に激しい拷問が行われたという場所が、高校の校舎を転用したトゥールスレン刑務所。2万人以上がここで拷問を受けたといわれています。脱走を防ぐための鉄条網や独房、尋問室は当時のままに保たれ、拷問の様子を描いた生々しい絵や拷問器具なども展示。この地で発見された人々の頭蓋骨、虐殺前に撮影されたという処刑された人々の顔写真などもあり、過去のあやまちを繰り返さぬよう、虐殺の凄惨さをリアルに伝えています。
キリング・フィールド
ポル・ポト政権時代、トゥールスレン刑務所に収容された者の多くは所内で拷問を受けた後、プノンペン市街から南西へ約15キロメートル離れたチュンエクと呼ばれるこの地へ移送、処刑されました。遺体は大きく掘られた穴に次々と放り込まれたとされています。そのため、この地はキリング・フィールドと呼ばれるようになりました。現在、穴は一部が掘り返されて、発見された約9000体の遺骨が新設された慰霊塔に収められています。
独立記念塔

1953年11月9日のフランスからの独立を記念して建てられた塔。繁華街の中心地であるシアヌーク通りとノロドム通りが交わるロータリーにあり、プノンペンのシンボルとなっています。夜はカンボジア国旗カラーにライトアップされます。100リエル札の図柄にもなるなど、カンボジア人にとってはなじみ深い建造物といえるでしょう。
セントラル・マーケット

中央にあるユニークな形状をしたドーム、そこから四方に建物が伸びるというフレンチスタイルの建築様式、黄色の外観……。フランス統治下にあった1937年、フランスの影響を受けて誕生した巨大なマーケットです。中央部のドーム下には貴金属やジュエリーの店が並び、四方には生鮮品や衣料品、生活雑貨などを扱う店が軒を連ねています。カンボジアらしいみやげ物も見つかるでしょう。