観光ガイドラオス![]() 静かなる仏教国。東南アジアの内陸部に位置するラオスは、悠久の大河メコンやそこに流れ込む支流、連なる山々といった豊かな自然に恵まれた国です。人々は古くから仏教に深く帰依し、きらびやかな寺院に日々の祈りを捧げ、僧侶による毎朝の托鉢にも喜捨を欠かしません。経済的に見れば決して裕福な国ではありませんが、心豊かに暮らすラオスの人々と触れ合うとき、私たちの心もまた静かに癒されていくのを感じることでしょう。そんなラオスの旅は、首都ビエンチャンと古都ルアンパバーンがハイライトとなります。 国の概要
![]() 旅の基本情報
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 現地での出入国
国内交通
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() おもな見所![]() ![]() ![]() ビエンチャン![]() 旅のヒント![]() メコン川を挟んでタイと国境を接する、ラオスの首都ビエンチャン。きらびやかな仏教寺院や信仰篤き人々が祈りを捧げる光景が印象に残る、仏教国ラオスの中心地です。繁華街となるのは、メコン川沿いのファーグム通りと北側に並走するサムセンタイ通りに挟まれたエリア。徒歩で巡られる範囲に見どころなどが集まっています。少し離れたタート・ルアンなどへは、小回りの利くトゥクトゥクが便利です。 タート・ルアン![]() 街の中心地から3キロメートルほど離れた場所にある、仏教国ラオスの国家的シンボルにもなっている黄金の仏塔です。3世紀頃にインドからの使者がブッダの胸骨を納めるために建立したと伝えられていますが、その起源は定かではありません。その後、ランサーン王国最盛期の1566年にセタティラート王が再建に着手。この王の像が入り口正面に立っています。ハスの花をモチーフにした外周85メートル、高さ45メートルの仏塔は三層構造で、かつて二層以上へは一般人が立ち入れませんでしたが、現在は内部へも入ることができます。 パトゥー・サイ(アヌサワリー)![]() タート・ルアンと街中心部との間にある戦没者記念塔で、パリの凱旋門を模して造られました。そのため、かつては記念塔を意味する「アヌサワリー」と呼ばれていましたが、現在はパトゥー(門)・サイ(勝利)と呼ばれています。内部の階段を上って塔上部に出れば、メコン川に沿って広がるビエンチャンの街並みを一望することができます。 ワット・シムアン![]() 特に女性の参拝者が多いことで知られる、1563年に建造された寺院です。建設する際、柱を立てるための穴に妊婦が神への生贄として飛び込み、その上に石柱を立てたことで聖なる場所になったという伝説が伝わるためです。ビエンチャン中心部の南端にたたずみ、今も願掛けをする多くの参拝者を見ることができるでしょう。 ワット・ホー・パケオ![]() ラオス北部のルアンパバーンからビエンチャンへ遷都される際、エメラルド仏を安置するために建立されたランサーン王国の守護寺院。1779年に勃発したシャム王国との戦いの際にエメラルド仏は持ちさられてしまい、現在タイ・バンコクのワット・プラケオにあるのがその仏像であるといわれています。当時消失した建物は1936年、フランスによって再建され、国内各地から集められた仏像など宗教美術品を展示する博物館になっています。 ワット・シーサケット![]() ランサーン王国が分裂した18世紀以後、幾多の戦火に見舞われたラオスでは、貴重な歴史的建造物が破壊されてしまった例が少なくありません。そんななか、ここは王国時代の1818年(1824年説もあります)に建造され、今も当時のままの姿を保っているビエンチャン随一の歴史的建造物として知られています。現在は博物館になっていて、美しい建築とともに本堂内部や周囲の回廊に並べられた幾多の仏像を見ることができます。 タラート・サオ![]() ビエンチャン市内で最大規模を誇る総合市場。繁華街の中心にあるので、滞在中はぜひ足を運んでみましょう。場内には日用品から衣類、電化製品、宝石などさまざまなものがそろっていて、みやげ物としても人気の伝統的な織物なども購入できます。もともとは朝市の意味でしたが、現在は8時半から16時頃まで営業しています。食料品は道を挟んだタラート・クアディンにあり、こちらも必見といえるでしょう。 友好橋![]() ビエンチャン市街の南方にあるこちらは、タイとラオスを結ぶメコン川初の橋として知られています。全長1174キロメートル、幅13メートルほどで、オーストラリアの援助によって1994年4月に完成しました。両国の国境は外国人旅行者にも開かれていて、バスやタクシーを使った陸路での国境越えが可能です。 COLUMN ビエンチャンのホテル事情![]() 外国人向けの高級ホテルから、"超格安"ともいえるリーズナブルなゲストハウスまで、首都ビエンチャンには多数の宿泊施設がそろっています。ただし、高級ホテルはまだまだ軒数が少ないため、ハイシーズンになると予約がとりにくい状況となります。特に人気が高いのが、各種レストランやショップが入りラオス調の装飾が目を引く「ラオ・プラザ」、フレンチコロニアル様式のクラシカルな「セタ・パレス」は最高級ホテルとして人気。ゴージャスな滞在を希望する人は、早めの予約を心がけましょう。 ルアンパバーン![]() 旅のヒント![]() ビエンチャンからメコン川を遡ることおよそ400キロメートル。現在のラオスの基礎となるランサーン王国(1353~1779年)の都として栄え、80もの寺院が建設された古都ルアンパバーン。王朝時代に花開いた華麗な仏教文化の足跡が残ることから、世界文化遺産に登録されています。おもな見どころは徒歩圏内に点在しているので、古都風情を楽しみながらのんびりと散策するのがおすすめです。 ワット・シェントーン![]() メコン川とその支流であるカーン川が合流する場所に建つ、ルアンパバーンを代表する寺院。屋根が地面近くにまで迫り出した、典型的なルアンパバーン建築様式を見ることができます。1560年に当時の王セタティラートが建立した本堂は、見事な黄金の装飾が施されています。裏側にある「生命の木」のモザイクや本堂隣の祠のモザイク、竜の首をモチーフにした王の霊柩車など、往時の栄華を今に伝える豪華な仏教芸術の数々を見ることができます。時間をかけてゆっくりと見学を。 王宮博物館![]() 1909年、シーサワンウォン王の宮殿として建てられたもので、王制が廃止された現在は博物館として利用されています。館内には王とその家族の寝室などが保存されているほか、各国から贈られた美術品なども展示。贅を尽くした王家の暮らしぶりを知ることができます。また、ルアンパバーンの生活や民話をモチーフにしたモザイクが王位授与ホールの壁一面に施されていて、こちらも見ごたえがあります。 プーシー![]() 街の中心にある小高い丘で、王宮博物館の正面から328段の階段を経て頂上へアクセスすることができます。頂上からはルアンパバーンの全容が一望でき、古都を俯瞰できるスポットとして観光客にも人気。頂上には、1804年にアヌルット王により建立されたタート・チョムシーと名づけられた仏塔も建っています。黄金に輝くこの塔は、市街各所から眺めることができるルアンパバーンのランドマークとなっています。 COLUMN 托鉢風景![]() かつては日本各地でも盛んに行われていた僧侶の托鉢。ラオスでは今も全国各地で見ることができますが、特に寺院の多いルアンパバーンでは目にする機会が多く、古都の日常風景の一部になっています。僧侶は通常金銭を持ちません。そのため、毎日の糧を在家の人々に求め、朝6時頃から7時頃まで市内を練り歩きます。そして在家の人々はモチ米などを用意して、僧侶たちへ喜捨を行うのです。仏教国ラオスらしい1シーンとして、足を留めて静かに眺めてみてはいかがでしょうか。 ワット・タート・ルアン![]() 中心部から少し離れた場所に建つ、1514年にウィスナラー王によって建立された寺院。ビエンチャンのタート・ルアン同様に「大きな塔」を意味しています。ビエンチャンの寺院に比べれば小ぢんまりとしていますが、1910年に建設された仏塔は古都の寺院らしいしっとりとした風情を感じさせてくれるでしょう。 パクウー洞窟![]() ルアンパバーン市街からメコン川を上流へ30キロメートル、ボートで1時間30分ほど遡ると、タム・ティンとタム・プラカチャイという名の2つの洞窟が見えてきます。前者は川岸に垂直に切り立った断崖にぽっくりと穴が穿たれたもので、内部には人々が奉納した5000体もの仏像が並んでいます。大小、素材もさまざまな仏像が静かにたたずむ光景は、ラオスの人々の信仰心の篤さを伝えています。 バーン・サンハイ![]() ルアンパバーンとパクウー洞窟との間にある小さな村で、ラオスの伝統的な米焼酎「ラオラーオ」の産地として知られる場所です。小ぢんまりとした製造所では工程を見学することができ、その場で商品を買うこともできます。ちなみにラオラーオの「ラオ」はお酒、「ラーオ」はラオスの意。アルコール度が40度と高めで、ラオスでは小さなグラスで回し飲みするのが友情の証ともいわれているとか。一帯では伝統工芸品の織物なども販売されています。 クアンシーの滝![]() ルアンパバーンから南方へおよそ30キロメートル。木々に囲まれた一帯に水音を響かせる、美しい滝があります。高さ30メートルほどとそれほど大きな滝ではありませんが、石灰岩の岩目を縫うように幾筋もの水が流れ落ちる優美な姿で人気を集めています。コバルトブルーの滝壺の美しさでも有名です。 COLUMN ルアンパバーンのナイトバザール![]() ルアンパバーンのメインストリート「シーサワンウォン通り」は、18時から22時頃にかけて車両通行止めとなり、ナイトバザールが毎晩開催されています。売られているものは外国人向けのみやげ物が中心。骨董品や織物、ペーパーランタンなどの民芸品が豊富にそろっていて、個々のショップを巡るよりも手軽に、そしてあれこれ比較しながらお気に入りを見つけることができるでしょう。他の東南アジア各国のバザールに比べて客引きが激しくないので、ゆっくりと見られるのもうれしいところです。 その他のエリア旅のヒント![]() ラオスの旅は首都ビエンチャンと古都ルアンパバーンがハイライトとなりますが、その他にも魅力あるエリアがたくさんあります。以下で紹介するのは、外国人旅行者が比較的多い5カ所。いずれも美しいラオスの風景と素朴な人々の暮らしに触れられるのが魅力といえます。最寄の町から公共交通機関がない場合は、主要都市発着のツアーに参加するのがおすすめです。 ジャール平原![]() ルアンパバーンの東方約150キロメートル、ポーンサワン郊外に位置するこの平原は、巨大な石壺が一面に転がるという不思議な場所。最大の壺は高さ3メートル以上もあり、今から2500~3500年前にこの地を征服した王が祝いの酒を貯蔵したものという説、壺のそばから人骨と日用品が見つかったことから棺だったという説など諸説粉粉。ラオス最大の謎ともいわれています。ポーンサワンへは、ビエンチャンから国内線で約30分です。 ムアンシン![]() 70もの民族で構成されているラオスにあって、中国、ミャンマーと国境を接する北部山岳地帯のムアンシンは、少数民族が多く暮らすエリアです。旅行者向けのゲストハウスやレストランがわずかにあるだけの小さな町ですが、各民族で異なる衣装や生活様式などを見ることができるとあって、外国人旅行者の姿も見かけます。サワンサイ市場では毎朝、農産物などを売りにきた多くの民族を見ることができます。 パクセ![]() 大きく分けて北部と南部に分類できるラオスですが、南ラオス最大の都市がこちら。ビエンチャンなどからの国内線のほか、カンボジアなどからの国際線も発着する国際都市です。市街に目立った見どころはなく、外国人旅行者にとってはコーンパペンの滝とワットプーへのゲートシティとして知られています。かつてのチャンパーサック王国の王宮を改装したチャンパーサック・パレス・ホテルなどに滞在し、のんびりとしたラオス時間を満喫してください。 コーンパペンの滝![]() 中国からベトナムまで悠々と流れるメコン川ですが、唯一険しい表情を見せるのがここ。パクセから南へ150キロメートルほどの場所にあるコーンの滝群です。水煙を上げながら落差20メートル、幅300メートルほどを落下するコーンパペンの滝は、滝群の中のハイライト。一帯はラオスとカンボジアの国境となった上に、ラオス文化とクメール文化を分けた地でもありました。 ワットプー![]() パクセから南へ45キロメートルほど下った場所にある、ラオス最大の宗教遺跡。5世紀に一帯を征服したクメール人が築いたヒンドゥー教寺院跡です。2001年に世界遺産に登録され、南部ラオス最大の観光地となりました。バサック山の麓から中腹にかけて宗教建造物が点在していて、クメール建築の最高峰といわれています。 COLUMN ワット・プーのおもな見どころ![]() 広大なエリアに数々の遺跡が点在するワット・プー。参道両側にはバライと呼ばれる身を清める池があり、その先には儀式を行ったと考えられている南、北の2つの宮殿、さらに南の宮殿奥に牛の姿をしたナンディン宮殿があり、ようやく現われる玄関から続く階段を登ると本殿に行き着きます。他に比べてきれいな状態で保存された本殿では、ヒンドゥー教の神々が刻まれた見事なレリーフを見ることができます。 COLUMN ラオスの伝統舞踊![]() 神々へ捧げるもの、客人を歓迎するもの、王族のためだけに踊られるものなど、さまざまな種類があるラオスの伝統舞踊。しなやかで優雅な動きが特徴で、独特な音色を奏でる伝統楽器の音楽と合わせて、幻想的な舞踊に酔いしれることでしょう。こうした舞踊は、シアターを併設するレストランや高級ホテルなどで見ることができます。 グルメ旅慣れた人ほど、一度訪れると「ハマる」というラオス。その理由のひとつがラオス料理にあることはいうまでもないでしょう。日本でも地産地消といった概念が見直されつつありますが、素朴な伝統が生きる国ラオスはまさにローカルフードの宝庫。メコン川、あるいは美しい野山を見ながら囲む食卓では、ラオスの自然が育んだ幸と、長い歴史に裏打ちされた食文化が心を満たしてくれるはずです。地方に行くと、昆虫、野鳥、モグラなど日本では見かけない食材に出会えることもあります。
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 特産品・おみやげラオスみやげの中心となるのは、人々が古くから使ってきた実用品やそこに多少のアレンジを加えた品々。自然の素材を伝統的な手法で作り上げた、ナチュラルテイストが魅力となっています。なかでも人気を集めているのが、女性の巻きスカートである「シン」などの織物。各地のマーケットのほか、ビエンチャンやルアンパバーンなどの専門店で購入することができます。
![]() ![]() ![]() |