観光ガイドマレーシア![]() イスラムの伝統を受け継ぎながら、さまざまなルーツ・文化を持つ人々がともに手をとりあって暮らすマレーシア。現代多民族社会のモデル国家ともいわれています。林立する超高層ビルと歴史的建造物の対比が美しい首都クアラルンプールのほか、世界遺産にも登録された歴史あるペナン島やマラッカ、そして国土の70パーセントを占める豊かな熱帯雨林とそこに生息するさまざまな動植物など、多様な見どころが魅力となっています。 国の概要
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![]() ![]() ![]() ![]() ![]() クアラルンプール
![]() 旅のヒント![]() 2020年の先進国入りを目指すマレーシアの首都。近代的な高層ビルや植民地時代の建造物、イスラム寺院などが混在し、不思議な調和を見せています。高層ビルが集中する北部、エネルギッシュな南西部のチャイナタウン、イギリス風建物が残る西部、ショッピングやナイトスポットが集まる南部のブキッ・ビンタンや郊外のバンサ地区など、エリアによって雰囲気はさまざま。各所を結ぶKLモノレールや高架電車LRTを駆使して、自由に街歩きを楽しんでみましょう。 ペトロナス・ツイン・タワー![]() 高さ452メートル、88階建ての高層ビルで、現代クアラルンプールを象徴するランドマークです。アメリカ人建築家シーザー・ペリー氏がイスラムの教えからイメージして設計したもので、2つのタワーはそれぞれ日本と韓国の企業が建設を担当しました。国営の石油会社ペトロナスのオフィスビルとなっていて、コンサートホールやショッピングセンターなども入っています。 KLタワー![]() コンクリート製では世界最大級を誇る、高さ421メートルの通信塔。地上276メートルの部分にある展望台のほか、回転式のレストランなどもあって観光客や地元の人々の人気スポットとなっています。タワー自体が海抜94メートルの丘の上に建っていることもあり、展望台からの見晴らしは抜群。クアラルンプールの街と近郊を一望することができます。 ムルデカ広場![]() ムルデカとは「独立」のこと。1957年8月31日に「マレーシア独立」の父にして初代首相となったトゥンク・アブドゥル・ラーマンが、マラヤ連邦(当時)のイギリスからの独立を宣言した記念すべき場所として親しまれています。高さ100メートルという世界一の掲揚塔に国旗が掲げられていて、現在でも数々の国家行事が行われるなど、厳粛な雰囲気が漂っています。 スルタン・アブドゥル・サマド・ビル![]() ムルデカ広場から通りを隔てたところに建つ、旧連邦事務局ビル。現在は、最高裁判所、高等裁判所として使用されています。ムーア様式のレンガ造りで、クアラルンプールのシンボルともなっている高さ40メートルの時計塔が目印。通常、土・日曜と8月の夜間は美しくライトアップされているので、この時期に訪れたら夜景も堪能してみてはいかがでしょうか。 マスジッド・ジャメ![]() 1909年、セランゴール州のスルタンによって建造されたクアラルンプール最古のモスク。インド北部のイスラム建築を取り入れたデザインで、設計はイギリス人によるものです。「クアラルンプール」とはマレー語で「泥が合流する場所」の意。クラン川とゴンバック川が合流することが語源となっていますが、その合流点に建つのがこのモスク。クアラルンプール発祥の地としても興味深いスポットです。 国立歴史博物館![]() ムルデカ広場の隣に建つミュージアムです。かつて銀行に使われていた白いコロニアル様式の建物を改装し、1996年にオープンしました。館内では、先史時代からイギリスの統治時代、旧日本軍の占領時代、そして独立に至るマレーシアの歴史をテーマに、数々の資料を展示。マレーシアの歴史をじっくりとたどることができるスポットです。 スリ・マハマリアマン寺院![]() クアラルンプール市内最大のヒンドゥー教の寺院。1873年に実業家サミ・ピライによって建造されました。近年の修復で色も塗りなおされ、鮮やかな色彩が復活。ヒンドゥーの神々をあしらった美しい楼門など、華やかなインド文化を体感することができます。下町らしい活気に満ちたチャイナタウンエリアにあるので、散策がてら訪れてみてはいかがでしょうか。 セントラル・マーケット![]() チャイナタウンの北側にあり、イギリス統治時代から生鮮食品市場としてにぎわったマーケット。現在はバティック、木工品、絵画、エスニック雑貨、ピューター製品などマレーシアの特産品を並べるショップも豊富で、高品質なものから手頃な価格のものまでおみやげ探しにも最適です。フードコートやカフェ、レストランなども充実しています。 イスタナ・ネガラ(王宮)![]() マレーシア国王の公邸。立憲君主制をとるマレーシアでは、国王は9つの州のスルタン(君主)から選ばれ、選出されたときのみここに住むことになっています。基本的に内部の見学はできませんが、金色のドームを持つ美しい建物や手入れのいきとどいた庭、銃剣を手に立つ衛兵など威厳に満ちた雰囲気は一見の価値があるでしょう。通常、記念撮影には応じてくれます。 国立モスク![]() 1965年に完成した、東南アジア最大級の大きさを誇るモスクです。貝殻や星を思わせる幾何学的な形状の青い屋根、高さ73メートルのミナレット(礼拝時刻の告知に使われる塔)など、現代イスラム建築の代表作としても知られています。8000人を収容できる礼拝堂があるほか、図書館や国の独立に貢献した人々の霊廟なども併設。見学の際、女性はスカーフと上着を貸し出されるので必ず着用しましょう。 クアラルンプール駅![]() 1885年に開通した鉄道駅。1910年に完成したムーア風様式の建物は、白亜の外観にアーチ型の柱廊や尖塔などがみごと。一見すると駅とは思えない優美なデザインで、クアラルンプールを代表する建築物のひとつとなっています。KLセントラル駅の開業で現在は一部の列車が停車するのみです。 国立博物館![]() 伝統的なマレー様式で建設された博物館で、1963年に開館しました。マレーシアの歴史と文化に関する資料や芸術品を豊富に収蔵し、館内では自然史、各民族の暮らしや伝統の生活用具や武器、楽器などさまざまなジャンルごとに分かりやすく展示されています。屋外の展示スペースも広々としていて、蒸気機関車や消防車、生活用具などを見ることができます。 レイク・ガーデン![]() 1888年に建造された庭園。92ヘクタールの敷地には、マレーシアに生息する800種類以上のランが見られるオーキッド・ガーデン、国花でもあるハイビスカスが500種類以上植えられたハイビスカス・ガーデンがあるほか、熱帯雨林を再現した本格的なバード・パークやバタフライ・パーク、国立プラネタリウムなど見どころが豊富。シティで赤道直下の自然を満喫できるスポットとして親しまれています。 国立美術館絵画や彫刻など、マレーシアの現代美術を中心に展示しています。もともとは、1932年に建てられた旧マジェスティック・ホテルのあった場所。植民地時代の技術を結集して立てられたコロニアル風の建物を改装し、美術館として使用しています。 バツー洞窟![]() クアラルンプールから北へ13キロメートルの郊外にあるヒンドゥー教の聖地。インド国外では世界最大規模の聖地で、毎年1・2月に大々的に行われるヒンドゥー教の奇祭「タイプーサム」は特に有名です。参拝はまず272段の階段を上り、その先にある高さ100メートル近い大鍾乳洞に入洞。その奥にあるのが聖者を祀る洞窟寺院です。ヒンドゥー美術を展示したアートギャラリーもあるのでぜひ見学を。 COLUMN クアラルンプールでスパ体験![]() 近年、クアラルンプールにも多数のスパが登場して注目を集めています。コンセプトはそれぞれに異なりますが、マレー、ヒンドゥー、英国式スタイルに加えてタイやバリからも技法を取り入れた豊富なメニューが楽しめるのは国際都市ならでは。パンコール・ラウ島で大人気のスパが登場したスパ・ビレッジ・クアラルンプール(リッツ・カールトン)、スターヒル・スパ(JWマリオット)、スパ・インドラニ(スターヒル・ギャラリー)などから、高級住宅街に建つ一軒家スタイルのものまで施設数も豊富。南国シティリゾートを堪能してみては? COLUMN 巨大ショッピングモールへGO!![]() ここ数年でショッピングスポットがぐっと充実したクアラルンプール。特に繁華街のブキッ・ビンタン周辺、その北側に続くツインタワー周辺には巨大ショッピングモールが集中しています。スリアKLCC、スター・ヒル・ギャラリーなどハイクラスなスポットから、地元っ子に人気のBBプラザ、スンガイ・ワン・プラザ、若者向けのロット10など、個性もさまざま。フードコートや飲食店街なども充実しているので、街歩き&食べ歩きを楽しみながらとってお気に入りアイテムを探してみてください。 COLUMN 巨大アミューズメントリゾート、ゲンティン・ハイランドへ![]() クアラルンプールから東へ約1時間、パハン州にある高原リゾートがゲンティン・ハイランドです。標高1700メートルの高所にあり、一年を通して気温が20度前後と冷涼なことから避暑地としても知られています。この地の開発は1960年代から進められ、現在は巨大なアミューズメントリゾートへと発展。目玉は、何といってもマレーシアで唯一政府公認となっているカジノでしょう。イスラム教徒は賭け事が禁止されているため、カジノの周囲には遊園地やゴルフコースなどのレジャー施設も充実しているほか、コンベンションセンターや客室数6000室以上のホテルなども備えています。一攫千金の夢を携え、訪れてみてはいかがでしょうか。 ペナン島
![]() 旅のヒント![]() 島内での滞在の拠点となるのは、世界遺産など多くの見どころが集まるジョージタウンと、島北部に広がるバトゥ・フェリンギなどのリゾートエリアの2カ所。街歩きを中心に楽しむか、リゾートステイを満喫するか――。各自の旅のスタイルで滞在エリアを選ぶことができます。とはいえ、両エリア間はタクシーで30分ほどで行き来することができます。リゾートエリアに滞在した場合でも、世界遺産ジョージタウンの街歩きはぜひ楽しみたいところです。 ジョージタウン![]() 古くから「東洋の真珠」と呼ばれたペナン島。その中心地が、マレー半島に面した島北東部にあるジョージタウンです。マレーシア有数の規模を誇る都市としての姿を見せる一方、東西交易で発展した18世紀以降の歴史を今に伝えるコロニアル調の建物が数多く点在。これらの歴史的な建物は2008年、南部の街マラッカとともにユネスコ世界遺産に登録されました。マレーシア随一のグルメタウンでもあり、ご当地グルメを満喫しながら歴史散歩を楽しむことができます。 コムター![]() ジョージタウンの中心地にそびえる、65階建ての円柱形ビル。市街各所から顔をのぞかせる、ジョージタウンのシンボル的な存在です。60階には市街を一望できる展望室があるのほか、3階にはツーリストインフォメーション、さらに低層階には多彩なレストランやショッピングモールも入っています。市街散策を始める前に訪れるのがおすすめです。 コーンウォーリス要塞![]() ジョージタウンの北東端。東インド会社のフランシス・ライト提督が1786年、初めてペナン島に上陸した場所に築かれた要塞。当時の同社の総督の名が付けられています。1805年に木造建築からレンガ造りの要塞に建て直されましたが、レンガ組の建物の一部が現存。さらに、今なお沖合いを航行する船舶を見守るように、海に向かってかつての大砲が置かれています。この大砲は、花を供えて祈りを捧げると子宝に恵まれるといわれています。 ペナン博物館![]() コロニアル建築の建物が数多く集まるジョージタウンの一画。敷地入り口に立つ、街を拓いたフランシス・ライト提督の銅像が目印の博物館です。1階にはマレー系民族や中国から渡って帰化したババやマレー系ニョニャの解説、2階には絵画や調度品などが展示されていて、ペナン島の歴史や文化を深く知ることができます。ペナン島に暮らした日本人に関する史料も見ることができます。 スリ・マリアマン寺院![]() 1883年に建築された、ジョージタウン最古のヒンドゥー教寺院。38の神々と動物などの極彩色の彫像が刻まれた入り口の塔をはじめ、金や銀、豪華な宝石で飾られた本堂のスリ・マリアマン女神像などが目を引きます。寺院の周囲を歩けば、一帯にはイスラム教、仏教、キリスト教の寺院も点在していて、ペナン島がイギリス統治時代以降続く多民族社会であることを実感できるでしょう。 セント・ジョージ教会![]() 東南アジア最古と伝えられる、1818年に建てられたイギリス国教会。ペナン博物館に隣接しています。ペナン島の風景画家ロバート・スミスの設計による建物は、正面の白い尖塔と円柱が整然と並び、島内コロニアル建築物の代表格といわれています。エントランスには、フランシス・ライト提督が初上陸したことを記念して、メモリアルキャノピーが置かれています。 チョン・ファッ・ツィ・マンション![]() ペナン島のヘリテージ・プロジェクトによって修復された歴史的建築物。客家(はっか)から事業を興したかつての億万長者チョン・ファッ・ツィ氏が20世紀初頭に建造した、当時の贅を極めた豪邸です。外壁が鮮やかな青一色に塗られていることから「ブルー・マンション」とも呼ばれています。カトリーヌ・ドヌーブ主演の映画「インドシナ」(1991年/仏)のロケ地としても使われました。館内はガイドによる解説付きツアーに参加すれば見学できます。 寝釈迦仏寺院![]() コムターからバトゥ・フェリンギへ向けて車で約5分。全長33メートル、世界で3番目に大きいとされる寝釈迦仏が安置されたタイ式寺院があります。金箔の衣装を身にまとい、穏やかな表情で横たわる涅槃仏は、ジョージタウン郊外観光のハイライト。1958年に建造された建物は、極彩色の彫刻などで飾られていて、中庭にある猿やドラゴンのきらびやかな像も必見です。 ビルマ寺院![]() 寝釈迦仏寺院の向かい側にある、マレーシア唯一のビルマ寺院。ビルマ式寺院の特徴である黄金のパゴダがあり、本堂には高さ10メートルの巨大な釈迦像を安置。参拝者が身体の悪い部分と同じ場所に金箔を貼れば治るという信仰から、釈迦像は金箔で覆われています。この寺院があるのは、かつてビルマ人集落があった場所。アジア各国から人々がペナン島に移入したことが伺えます。 バタフライ・ファーム![]() マレーシアを代表するおよそ120種4000匹の蝶を飼育する、世界有数の熱帯蝶園。蝶たちは人を避けることもなく、ハイビスカスなど熱帯の花々に群がって蜜を吸う姿を間近に観察することができます。そのほか、熱帯に生息する珍しい昆虫や爬虫類も飼育。全天候型の園内とあって、降雨時にも容易に観察できるのもうれしい限りです。 ペナン・ヒル![]() ジョージタウン中心部から車で約20分。島中央のほど近くに位置する標高830メートルのペナン・ヒル。山麓から山頂まで所要30分のケーブルカーが運行していて、晴れた日には、頂上からはマレー半島側の街バターワースまで一望することができます。山頂付近は昼間の平均気温18度と涼しく、カフェやホテルなどでひと休みすることができます。 極楽寺![]() ペナン・ヒルの南東麓にある、マレーシア最大規模の仏教寺院です。いくつもの仏像や堂を見ながら迷路のような石段を進むと、7層からなる30メートルの巨大なパゴダが出現。下部が中国、中央部がタイ、上部がビルマ様式という、3カ国の様式が混合した珍しい構造を見ることができます。広大な敷地にはそのほかにもさまざまな建造物が建ち、見る者を圧倒します。 蛇寺![]() かつて不思議な力で人々の病を治療したという高僧キュー・スー・コンに捧げるため、1850年に建造された中国儒教寺院。その後いつしか黄色い縞模様の毒蛇が住み着くようになり、その名が付けられたといわれています。この蛇は今でも見ることができますが、昼間は線香の煙で眠っているため襲われることはなく、寺院の守り神の使いとして人々に崇められています。 COLUMN ペナン島のおすすめビーチ![]() ペナン島のビーチエリアは、島北部に集中。その代表格がバトゥ・フェリンギで、ビーチ沿いにホテルが建ち並び、マリンスポーツを楽しむ人々でにぎわっています。海岸線沿いの道には夕方、フルーツや民芸品を売る露店が並びます。さらに北西部にあるテロク・バハンは、静かで落ち着いた雰囲気のビーチエリア。ジョージタウンとバトゥ・フェリンギの間にあるタンジュン・ブンガは岩場の多いビーチですが、高台に集まるホテルからの眺望が人気です。 ランカウイ島![]() 旅のヒント![]() タイ国境近くのアンダマン海に浮かぶランカウイ諸島の中心となるのが、東西30キロ、南北20キロのランカウイ島。全島デューティーフリーとなっていて、中心部となる島南東部のクアには数多くの免税店が集まっています。ビーチを目の前にしたリゾートホテルは島西部のパンタイ・チェナンやパンタイ・コッ、北部のタンジョン・ルーなどに集中。島内ではタクシー移動が便利です。 ワシ広場![]() クアの中心部から少し外れたフェリーターミナル近くにある、巨大なワシの像が建つ公園。ランカウイ島が発見されたとき、ワシ(マレー語でラン)が大理石(カウイ)の岩盤から飛び立とうとしていたという伝説が今に伝わっています。そのためこの島はランカウイと名付けられ、島のシンボルとして建てられたのがこのワシの巨像です。 マスリ王女の墓![]() クアから車で約15分。不思議な伝説が残るかつての王女マスリの墓がこちら。王女は王の不在中に不貞の疑いをかけられて、処刑を言い渡されました。そして王女は「自分が潔白ならば、白い血を流すだろう」と話した通り、処刑の際、白い血を流したといいます。以後7代にわたって島は王女の呪いを受け、ランカウイ島の砂浜が白いのはそのためと伝えられています。 黒砂海岸![]() 目にまばゆい白砂のビーチが続くランカウイ島にあって、島北部のここは、白砂の上に黒光りした砂がわずかに堆積し、美しい白黒模様が描かれた珍しい場所。海底の鉱物が打ち上げられたために見られる現象といいますが、なぜこの場所だけに起きるのかは解明されていません。寄せては返す波によって模様を変える美しいビーチを心ゆくまで堪能してください。 COLUMN ランカウイ島のおすすめビーチ![]() 島西部のパンタイ・チェナンは、ビーチ沿いにショップやレストランが軒を連ねるもっともにぎわうビーチエリア。高級からリーズナブルまで多彩なホテルも集中し、昼夜を問わず世界各国からの旅行者でにぎわっています。島内の高級リゾートエリアは、北西部のダタイ・ベイと北部のタンジュン・ルー。白砂のビーチの沖合いに木々がうっそうと茂った小島が浮かぶ、ランカウイ島らしい風景を目の前にした高級ホテルが点在しています。 マラッカ旅のヒント![]() 中国とマレーの文化が融合し、プラナカンと呼ばれる独自の文化が育まれたマレーシア。マラッカ王国の王都として栄えたマラッカは、そんなプラナカン文化の本場としても知られています。ヨーロッパ列強国の支配下で建設されたコロニアル建築が点在する市街は、2008年に世界遺産にも登録されました。中世から近現代への激動の歴史をたどるとともに、アンティークショップやニョニャ料理で華やかなプラナカン文化の香りも楽しんでみてください。 ババ・ニョニャ・ヘリテイジ![]() かつて、海上交易などでこの地にやってきたババ(中国人の男性)は、地元のニョニャ(マレー人の女性)と結婚することでこの地に定住していきました。その子孫であるプラナカンの大富豪の邸宅を、そのまま博物館として公開しているのがこちら。往時の姿を再現した室内には、派手な色彩を好んだために生まれた豪華絢爛な装飾品や食器のほか、マラッカに渡ってきた当初の中国人の暮らしぶりを伝える生活用品などが展示されています。 キリスト教会![]() マラッカにおけるオランダ建築の代表作とされる、1753年に完成した木造建造物。マレー半島最古のプロテスタント教会といわれています。高さ30メートルの教会天井の梁は継ぎ目のない1本の木を使用し、組み目にも釘を1本も使っていないという、高度な建築手法で建てられています。教会内部では「最後の晩餐」が描かれたタイル画を見ることができます。 スタダイス![]() キリスト教会の隣に建つ、1650年建造の旧オランダ総督邸。東南アジア最古のオランダ様式建築の館内は、マラッカ歴史博物館になっています。マラッカ王国時代に始まり、ポルトガル、オランダ、イギリスの植民地時代、日本軍の占領時代、マレーシア連邦の独立までを豊富な史料で紹介しています。隣接する時計台と噴水は、イギリスのビクトリア女王に捧げるために1904年に造られました。 サンチャゴ砦![]() ポルトガルが1511年に築き、その後オランダが要塞として使用するなど、マラッカの西欧支配の歴史を今に伝える貴重な遺跡。使用されていた当時は外からの攻撃を防ぐため、丘全体が高い塀で囲まれていたといいますが、19世紀にイギリスが防壁を破壊。現在は、1670年にオランダによって再建された石造りの門と大砲だけが残されています。 マラッカ文化博物館![]() 何層にも連なる屋根、高床式など、マレー伝統建築によって再現されたマラッカ王国時代のスルタン(王)の王宮。緑に囲まれた威風堂々たる建物は、王宮の名にふさわしいみごとさです。館内はマラッカ文化博物館になっていて、王朝時代の史料や宝物、マレーシア各州の民族衣装などを展示しています。サンチャゴ砦やセント・ポール教会などのあるセント・ポールの丘の東麓にあります。 COLUMN プラナカン文化に触れる![]() 明の時代のマレー半島に花開いたプラナカン文化。中国系の男性とマレー系の女性が結婚してそれぞれの文化の融合を図りながら、特にマラッカ、ペナン島、シンガポールの3都市で繁栄を極めました。植民地時代には、宗主国である西洋各国の文化もたくみに取り入れ、ビーズや刺繍などの装飾品、食器、料理など東西折衷のハイカラでエキゾチックな独自の文化として発展を遂げました。アンティークショップを巡って掘り出し物を探したり、現代的なセンスを取り入れたビーズや刺繍の装飾品をおみやげにしたりとさまざまに楽しんでみてください。また、プラナカン伝統の食文化としてニョニャ料理も有名です。マラッカ滞在中にぜひ味わってみましょう。 サバ州(ボルネオ)![]() 旅のヒント![]() 世界でも3番目に大きな島、ボルネオ島。ひとつの島の中にマレーシア、インドネシア、ブルネイの3国が国土を有し、マレーシアエリアにはサバ州とサラワク州の2州があります。サバ州の観光の拠点は、州都コタ・キナバル(後述)のほか、州第2の都市サンダカンがメインとなっています。州内の自然探索の拠点としては、サンダカンのほうがより近く、現地発着のツアーも催行されています。 コタ・キナバル![]() サバ州の州都で、日本からの直行便も就航するボルネオ島のゲートシティ。ネイチャーツアーの拠点としてはもちろん、南シナ海に面したシティリゾートとしての魅力も併せ持つエリアです。ここでは、マレー文化より約30もの先住民族や中国系、フィリピン系の住民の暮らしが息づいていることもあり、本土とはひと味違うグルメやショッピングも楽しめるでしょう。 キナバル公園![]() ユネスコ世界自然遺産にも登録されている、国立自然公園です。中心となるのは東南アジア最高峰、標高4095メートルのキナバル山で、登山やトレッキングが人気。標高に応じて変化する豊かな植生が見もので、ランやウツボカズラ、ときには世界最大の花として知られるラフレシアに出会えることもあります。登山やトレッキングは数種類のコースが設けられているので、体力や時間に応じてチャレンジしましょう。 ポーリン温泉&キャノピー・ウォーク![]() キナバル山麓でも有数の人気スポットがこちら。太平洋戦争当時に日本軍が掘り当て、開発を進めた天然温泉で、今も約50度で湧く硫黄泉を使った露天風呂(水着着用)や、貸切風呂などがあります。入浴後には、温泉から続くトレッキングコースを歩くのがおすすめ。近くには地上30~40メートルに架けられた吊り橋キャノピー・ウォークがあり、スリリングな歩行体験はもちろん、鳥の目線での自然観察が楽しめます。 セピロック・オランウータン保護区![]() 熱帯雨林の伐採で絶滅も危惧されるオランウータン。マレー語で「森の人」を意味する言葉どおり、ボルネオの森にはなくてはならない存在です。ここは、世界野生生物保護基金(WWF)の支援で設立された世界有数の保護施設。森林開発でケガをしたり、親を失ったりするなど保護の必要なオランウータンを自然に帰すためのリハビリを行っていて、1日2回の餌付けでは間近に観察できると好評です。 ダナン・バレー
![]() サバ州東部の内陸に広がる秘境。樹齢200年以上にもなる巨木が生い茂る森は、数々の野鳥、オランウータン、スマトラサイなど約500種類もの野生動物の宝庫となっていて、ゾウを観察することもできます。もっとも近い町ラハ・ダトゥから車で約2時間、コタ・キナバルからは飛行機で55分。コタ・キナバル発着のツアーでは、最低1泊はみておくとよいでしょう。 トゥンク・アブドゥル・ラーマン公園![]() コタ・キナバルの沖合に浮かぶガヤ島、マヌカン島、サピ島、マムティク島、スルグ島の5島からなる海洋公園です。ボルネオ本島からは船で15分ほどの近さですが、シュノーケリングやダイビングで見られるサンゴや熱帯魚など、南洋の海の美しさは格別。本島からボートタクシーで訪れるほか、ランチ付きの現地発着ツアーなどで訪れる方法もあります。手付かずの自然が残るマリンリゾートを満喫してください。 サラワク州(ボルネオ)![]() 旅のヒント![]() 南シナ海に面して細長く広がるサラワク州。観光の拠点となるのは、州都クチンやミリなどの都市です。人口45万人を擁するクチンは、かつて白人王ジェームス・ブルックが王国を築いた街。今なおコロニアル風の街並みが残されているほか、ネコを意味する街の名にちなんでネコに関する博物館や祭があることでも知られています。周辺の自然スポットへは個人で行くのは難しいので、クチンやミリ発着のツアーを利用すると便利です。 グヌン・ムル国立公園![]() 太古の地球を思わせる手付かずの熱帯雨林に、壮大な規模の鍾乳洞が点在する国立公園。2000年にユネスコ世界自然遺産に登録され、ネイチャーツアーの本場としてボルネオでももっとも注目を集めるエリアのひとつです。奥行き2160メートル、深さ220メートルを誇る洞内にコウモリの大群が飛び交うディア・ケイブなど鍾乳洞探検のほか、特異な植物や生物を観察しながらのトレッキングも人気。エリア内にリゾートホテルもあります。 ニア国立公園![]() 広大なジャングルに、世界最大規模のニア・ケイブなどの洞窟が点在しています。一部の洞窟では3万年以上前の人類の住居跡や1000年以上前の壁画が発見されていて、考古学的にも貴重な国立公園として知られています。サラワク州の都市ミリからのアクセスが容易で、各種のツアーも催行されています。 バコ国立公園![]() 州都クチンから約40キロメートル、南シナ海に面した国立公園です。真っ青な海と白い砂浜、海岸浸食によって形成された岬や奇岩、マングローブの原生林、湿地など変化のある自然景観が見ものとなっています。ここでもトレッキングが人気で、運がよければボルネオを代表する野生動物テングザル、熱帯植物のウツボカズラなど、珍しい動植物との出会いも期待できるでしょう。 クチン![]() サラワク州の州都で、クチン省の省都でもある都市。一帯はかつてブルネイの領土でしたが、1839年にイギリス人探検家ジェームス・ブルックがこの地の反乱を制圧。その褒賞でブルネイより土地を割譲され、ブルック自らが「白人王」となってサラワク王国を建設。クチンは、第二次世界大戦で日本軍が侵攻するまで、3代の王都として栄えたことで知られています。市内には現代的な街並みに混ざって当時のコロニアル風の建物も現存しています。周辺の自然探訪の基地として滞在しながら、そんな歴史にも思いをはせてみてください。 ダマイ州都クチンに程近い素朴なビーチリゾートです。プライベートビーチをもつものなど数軒のリゾートホテルやゴルフクラブなどがあって、滞在型の旅の拠点に最適。また、付近には州内の先住7民族の文化を紹介するサラワク・カルチュラル・ビレッジもあり、1日2回、伝統舞踊のショーなども披露されています。さらに本格的な体験を求めるなら、ダマイやクチンから周辺の先住民族の村を訪問するツアーに参加するのも一案です。 COLUMN サラワクの雄・イバン族とロングハウス![]() 3代にわたって続いたサラワク王国の白人王(ホワイト・ラジャ)のうち、特に第2代のチャールズが先住民を大切にしたことから、サラワク州は現在のマレーシアのなかでも先住民族の伝統的な文化が色濃く残されている地域のひとつとして知られています。そんなサラワク州で、今も50万人、約30パーセントと最多の人口比率を誇るのがイバン族です。もともとは航海術に長け、勇敢な戦士としての側面も持っていましたが、今は都市部や村落など州内各地に居住。なかでも、村落に住むイバン族は古くからの伝統を大切に守っていて、美しい民族衣装、織物などの伝統技術、収穫祭などを通しての触れ合いは観光客にも人気となっています。特に、15~20の部屋を備えたロングハウスと呼ばれる住居は必見。多くの場合、1室に5~6人が暮らし、1軒のロングハウスが自立した集落を成すなど生活様式としても独特なものです。クチンなどからのツアーで訪れ、ひとときの交流を楽しんでみてください。 その他のエリア旅のヒント![]() 南北に長いマレー半島には、まだまだ興味深いスポットが多数あります。ここでは、リピーターにおすすめしたい近年の注目シティやリゾートを紹介します。交通インフラが発達しているマレーシアでは、これらのエリアにもクアラルンプールから航空機や鉄道、バスを使って比較的容易にアクセスすることができます。また、ジョホールバルはシンガポールとあわせて訪問するのもおすすめです。 ジョホールバル![]() マレー半島最南端に位置し、長さ約1キロメートルのコーズウェイ橋を渡ればそこはもうシンガポールという国境の街です。マラッカ王国の後裔、ジョホール王国の王都として栄えた古都であると同時に、現在は観光・ハイテク産業・貿易・物流の拠点としてクアラルンプールに次ぐ発展を見せています。市内の歴史的スポットを巡るほか、地元の人にも人気のお手頃価格のショッピングセンターや免税品地区での買い物を楽しんだり、シンガポール側へ国境越えを体験するのもおすすめです。 パンコール・ラウ島![]() 「1島1リゾート」スタイルで知られる、マレーシアでも最高級のリゾートのひとつ。マレー半島西海岸にある島がまるごと1軒のリゾートホテルの敷地となっていて、自然に溶け込むように建つ水上コテージやヴィラ、そしてアジア最大級の規模を誇るスパなどで優雅な滞在が楽しめます。アクセスは、クアラルンプールから車で約3時間のルムッから専用フェリーで約1時間。ほか、国内線でパンコール島へ行き、専用ボートで訪れる方法もあります。 キャメロン・ハイランド![]() イギリス統治時代からの伝統を持つ避暑地。標高1800メートルの山間にあり、常夏のマレーシアにあるさわやかな高原リゾートとして、近年日本人旅行者やロングステイヤーの間で人気を集めています。一帯は古くから茶葉の栽培でも知られ、イギリススタイルのアフタヌーンティや紅茶を使ったスパなども人気。クアラルンプールからは車で約3時間です。 マレー半島東海岸![]() サンゴ礁の海と艶やかに輝く熱帯雨林、ウミガメなどの野生動物の足跡…。西海岸に比べて観光地化が進んでいない東海岸は、今も手付かずの大自然が残されているエリアです。注目したいのは、クアラトレンガヌ周辺や、レダン島、ティオマン島などにある高品質なリゾート。いずれも隠れ家的な雰囲気が特徴で、大自然とともにこの地に色濃く残るイスラム文化の香りを感じながら優美な滞在が楽しめるでしょう。クアラルンプールから空路で約1時間のクアラトレンガヌやコタバルからアクセスします。 グルメ世界有数の多民族国家として知られるマレーシアは、グルメシーンでも「世界の縮図」が存分に楽しめる国。特にマレー、中国、インドの料理に加えて、それらが融合することで生まれた独自の料理は、アジアの食文化の奥深さを感じさせてくれるでしょう。高級レストランから屋台まで、楽しみ方も自由自在。気の向くままにグルメ探検をどうぞ!
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 特産品・おみやげここ数年で目覚しい発展を遂げたマレーシアのショッピング事情。キッチュなエスニック雑貨はもちろん、伝統工芸品や高品質なインテリア雑貨などを探すのもおすすめです。クアラルンプールのショッピングモールやデパート、セントラル・マーケットなどのほか、リゾートホテルのショップなどでお気に入りを探してみてください。
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 現地での出入国
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